アングロアラブの話をしよう。
先日、馬なり1ハロン劇場を電子書籍で買い直して読み返している。
8巻の1番最初の話がシゲルホームランの話だった。
競走馬だが、サラブレッドではない。
サラブレッドとアラブ種の混血である、アングロアラブという種の競走馬だった。
シゲルホームランはアングロアラブ限定の重賞競走「セイユウ記念」を1993年〜1995年まで3連覇した馬だった。
しかし、この馬がこのレースを4連覇することはなかった。
JRAが1995年でアングロアラブ種限定の競走を廃止、セイユウ記念もこの年限りとなったためである。
JRA廃止後は地方競馬では開催が続けられていたが、徐々に地方でも開催からの撤退が続き、2009年にはアングロアラブ限定競走は無くなってしまっている。
(セイユウ記念も「セイユウ賞」などの名義で東日本の地方競馬に引き継がれていたが、シゲルホームランは熊本の荒尾競馬場に転厩していたためか、出走はしていない。)
そして今現在、アングロアラブ種の競走馬は国内には姿を消してしまった。
(血統表を遡れば、稀にではあるがその名が残っている場合もある。これはアラブ種の血が25%以下なら、サラブレッド種に分類されるため。)
生産自体はされているものの、その数は競走馬を出していた頃と比較すると、雲泥の差なのは明白だと思う。
なんで長々とアングロアラブ種の話をしているかというと、こんな記事を見かけたからである。
ばんえい競馬は「廃止」すべきなのか 「馬の顔蹴り」問題が波紋、騎手に戒告処分も議論続く: J-CAST ニュース
ばんえい競馬での競走馬への暴行に関連するニュース。
あの件そのものに関しては個人的にも色々と思うところもあるが、これに乗じてばんえい競馬そのものを批判して「廃止するべきだ」みたいな意見があった。
今回の件に乗じて「重いものを無理矢理引かされて可哀想」だの、「動物虐待ではないか」だの。
端的に言うと「ふざけんな」と。
廃止なんかにしてみろ。アングロアラブの後を追うのは想像に難くないだろう。
かなり酷な言い方になってしまうが、牧場だって「用途のない生き物を産んで育てる余裕はない」のである。
こういう時、発言する奴は後のことを考えて発言しているとは到底思えないんだよなぁ。
そのものだけ見て「可哀想だ」「ヒドいことをしている」とやんややんや言う。
軽薄な正義感による無責任な発言で、その生き物の種ごと衰退していくんだぞ。
確かに、あの騎手のしたことは決して許されることではない。
ただそれを橋頭堡にして、それ以外のことを問題視するのは御門違いだと思うし、その発言が先々の衰退を招くことを考えられないなら、「軽く言うくらいなら黙ってろ。」と思ってしまう。